グローバル金融市場において、信頼性とスピード、そして透明性を兼ね備えたトレーディング・インフラはますます重要性を増しています。
その最前線に立つのが、EBC Financial Group(UK)Ltd。英国FCAの監督下にあり、超低遅延の取引技術とアルゴリズムルーティングを強みとする同社は、近年FCバルセロナとのグローバル・パートナーシップを締結し、大きな注目を集めています。
このユニークな連携の背後には、単なるスポンサーシップを超えた”エコシステム主導”の戦略的意図が潜んでいます。
今回は、同社CEOであるデビッド・バレット氏に、その構想の全貌と、金融インフラの未来について詳しく伺いました。

David Barrett (デビッド・バレット)氏
EBC Financial Group (UK) Ltd CEO
EBCフィナンシャル・グループ(UK)CEOとして、AIG、ナットウエスト、野村證券、CLSAなどの一流企業で30年以上のキャリアを持つ、経験豊富な金融のスペシャリスト。業界のエキスパートとして、金融規制、資産運用、商品デリバティブ、事業戦略コンサルティングに深い知識を持つ。米国AIG在職中は、金融商品担当エグゼクティブ・ディレクターとして、国際的なティア1銀行、大手ヘッジファンド、ファミリー・オフィス等との協業を担当。
この記事を読むことで、EBCのスポーツ×金融インフラ戦略と、FCバルセロナとのパートナーシップの戦略的意味について理解を深めることができます。
FCバルセロナとの戦略的パートナーシップとは何か


まず、FCバルセロナとの提携は非常に話題となっています。このパートナーシップは、金融インフラ企業としてのEBCにとって、どのような意味を持つのでしょうか?



EBCとFCバルセロナの提携は、単なる広告露出やブランディングではありません。私たちはこの関係を、「価値観の共有」と「エコシステム戦略の実践」と位置付けています。



バルセロナは「クラブ以上の存在(Més que un club)」として知られ、スポーツを超えた社会的責任や地域貢献に取り組んでいます。これは、私たちが目指す”サステナビリティと信頼性を中核としたトレーディング・インフラ”というビジョンと完全に一致します。



加えて、FCBは世界中に多様なファンベースを持ち、多文化共生とグローバル展開の象徴でもあります。我々EBCが目指す「公平かつ高性能な金融アクセス」のグローバル展開において、FCBは最適な共創パートナーなのです。
インフラで差別化する「信頼性×テクノロジー戦略」





御社の競争優位性についてお聞きします。特に、金融インフラにおける「信頼性」は、プロフェッショナル投資家にとって最重要ポイントです。



おっしゃる通り、信頼性は我々の中核価値です。その根幹は、FCA(英国金融行為規制機構)の規制下で事業を展開している点にあります。顧客資産の分別管理、執行透明性、金融犯罪対策の徹底はもちろん、オペレーションガバナンスまで国際基準で構築しています。



加えて、当社のトレーディング・インフラは、グローバルネットワークに複数のマッチングエンジンを配備し、冗長性の高い低遅延執行を実現。独自開発のアルゴリズムによってスリッページの最小化にも成功しています。
金融サービスとしての「エコシステム」設計



「エコシステム主導型」のブローカーというコンセプトは非常に興味深いです。これはどのような設計思想に基づいていますか?



我々が目指すのは、証券会社ではなく”インフラとしてのブローカー”です。市場における個人投資家と機関投資家との情報格差や執行スピードの非対称性を、インフラで是正する。この考え方が我々のエコシステム戦略の出発点です。



たとえば、Tier1 LPとの直結による最適な流動性供給、クラウドベースのオーダールーティング、そしてプロ向けのAPIアクセスなど、すべてがエンドユーザーの投資成果を最大化するために設計されています。



また、FCバルセロナとの提携を通じて、スポーツファンという巨大なグローバルコミュニティを、次世代投資家として育成する長期構想も進めています。
未来に向けたインフラとレピュテーション戦略



今後の展開についてお伺いします。戦略的にはどのような進化をお考えでしょうか?



大きく3つの軸で事業を進化させます。1つは、AIを用いたリスク管理・ポートフォリオ最適化など、テクノロジーの高度化。2つ目は、アジア・中東・アフリカなど新興市場でのプレゼンス強化。3つ目は、ESG対応と金融リテラシー教育の推進を含む企業責任の実行です。



この観点からも、バルセロナとの協業は意味を持ちます。スポーツはグローバルな共通言語であり、信頼やフェアプレーという価値観は、投資や金融にも通じるからです。



我々は単なる拡大を目指すのではなく、より信頼される金融インフラプロバイダーとして、グローバル市場の構造課題に応えていきたいと考えています。
まとめ:スポーツと金融が織りなす次世代エコシステム
今回のインタビューでは、EBC Financial Groupのデビッド・バレットCEOに同社の戦略的ビジョンと、FCバルセロナとのパートナーシップの意義について詳しく解説していただきました。
同社の特徴として、英国FCAの規制下で展開する高い信頼性、グローバルネットワークに複数のマッチングエンジンを配備した低遅延執行の実現、個人投資家と機関投資家の情報格差・執行スピード非対称性をインフラで是正する「エコシステム主導型」戦略、FCバルセロナとの価値観共有による次世代投資家育成の長期構想など、従来のブローカーとは一線を画すアプローチが印象的でした。
特に注目すべきは、FCバルセロナとの提携が単なる広告露出やブランディングではなく、「価値観の共有」と「エコシステム戦略の実践」として位置づけられている点です。バルセロナの「クラブ以上の存在(Més que un club)」という哲学と、EBCが目指す”サステナビリティと信頼性を中核としたトレーディング・インフラ”というビジョンの一致は、単なるスポンサーシップを超えた戦略的意味を持っています。
技術面では、独自開発のアルゴリズムによるスリッページ最小化や、Tier1 LPとの直結による最適な流動性供給、クラウドベースのオーダールーティングなど、エンドユーザーの投資成果最大化を目的とした包括的なインフラ設計が評価できます。
また、今後の展開として示された3つの軸-AIを用いたテクノロジー高度化、新興市場でのプレゼンス強化、ESG対応と金融リテラシー教育の推進-は、単なる規模拡大ではなく、より信頼される金融インフラプロバイダーとしてグローバル市場の構造課題に応える姿勢を表しています。
「サッカー」と「金融」という一見交わることのない領域を”インフラと価値観”で結ぶEBCの取り組みは、高度化するテクノロジーと共に、信頼性や透明性といった”人間的な価値”が再評価される現代において、業界の重要なベンチマークとなることでしょう。
変革の本質は、いつも「誰と組むか」から始まるもの。次の時代の投資とは、そうした”共創”にこそ未来があるのかもしれません。
コメント