- 海外仮想通貨取引所のトラベルルールとは?
- 送金の影響や各業者の対応は?
仮想通貨投資を始めたばかりの方や、海外取引所の利用を検討している方は、「トラベルルール」という言葉をご存知でしょうか?
トラベルルールとは、海外仮想通貨取引所が送金時に利用者の氏名・住所など取引情報(送金者・受金者情報)を相手取引所に通知する国際的なAML/KYC規制のことです。
国際送金の透明性向上やマネロン対策が目的で、一定額以上の法定通貨送金や暗号資産移動時に適用されます。
仮想通貨取引において重要な規制として注目を集めているトラベルルールは、あなたの投資活動に大きな影響を与える可能性があります。
本記事は、海外取引所を利用する際に必ず知っておくべきトラベルルールについて、分かりやすく解説していきます。
なお、まだ海外の仮想通貨取引所の口座をお持ちでない方は「仮想通貨海外取引所ランキング!おすすめ比較15選」を参考にしてくださいね。

海外仮想通貨取引所のトラベルルールとは?
トラベルルールとは、仮想通貨の送金元と送金先の取引所間で送金者の取引情報を共有することを義務づけている国際的なルールのことです。
トラベルルールの目的は、仮想通貨によるマネーロンダリングやテロ資金供与を防ぐことで、仮想通貨を悪用した犯罪を防止することです。
国内取引所だけでなく、海外取引所に仮想通貨を送金する場合であってもトラベルルールは適用されます。

そのため、海外に送金する場合には従来とは異なる手続きが求められるのです。
以下では、そんなトラベルルールについて詳しく解説します。
トラベルルールによる影響は?
トラベルルールによる影響を受ける対象は次の3つです。
- 仮想通貨の取引所
- 仮想通貨のユーザー
- 仮想通貨市場全体
以下では、トラベルルールの影響について詳しく解説します。
取引所に送金できない可能性がある
海外取引所への送金が制限される可能性が高まっています。
主に以下のような状況で送金が困難になる可能性があります。
制限されるケース | 詳細 |
---|---|
特定国の取引所への送金規制 | 金融庁指定の通知対象国家に所在する取引所への送金が制限されることがあり、送金が可能か事前確認が必要 |
情報不備による送金拒否 | トラベルルール対応取引所では、送金者の氏名、住所、アカウント情報などの正確な情報提供が必須となり、情報が不完全な場合、送金が拒否される場合がある |
システムの互換性の問題 | 取引所間で異なる通知システムが採用されている場合、送金が不可能になることがある |
送金できない仮想通貨がある
トラベルルールの導入により、以下のような仮想通貨の送金が制限される可能性があります。
- 高い匿名性を持つ仮想通貨(Monero、Zcash、Dashなど)
- 新興の仮想通貨
- 取引量の少ない仮想通貨
- 将来的に規制リスクが高いと判断される仮想通貨
上記の仮想通貨を保有する場合は、プライベートウォレットでの保管などを講じることがおすすめです。
送金時に時間やコストがかかる
トラベルルールの導入により、取引手続きが以前より複雑化しています。
時間的影響
- 送金者と受取人の情報確認に時間を要する
- 情報の不備がある場合、さらなる遅延が発生
コスト面での影響
- 取引所のシステム構築費用の増加
- 規制対応のための人件費上昇
上記の影響を考慮し、取引を行う際は十分な準備と時間的余裕を持って対応することが重要です。
各取引所のトラベルルールの対応まとめ
トラベルルールへの対応は、取引所によって違いがあります。
送金時のトラブルなどを未然に防ぐためにも、各取引所のトラベルルールの対応をチェックしておくことをおすすめします。
以下では国内仮想通貨取引所や海外仮想通貨取引所のトラベルルールの対応をまとめています。
国内仮想通貨取引所のトラベルルール対応一覧
国内間の取引所におけるトラベルルールの対応についてまとめています。
コインチェック | ビットフライヤー | GMOコイン | ビットバンク | ビットポイント | ビットトレード | |
---|---|---|---|---|---|---|
コインチェック | 〇 | × | × | × | × | |
ビットフライヤー | 〇 | × | × | × | × | |
GMOコイン | × | × | 〇 | 〇 | 〇 | |
ビットバンク | × | × | 〇 | 〇 | 〇 | |
ビットポイント | × | × | 〇 | 〇 | 〇 | |
ビットトレード | × | × | 〇 | 〇 | 〇 |
国内取引所同士であっても、採用している通知システムが異なると送金ができないため、注意が必要です。
海外仮想通貨取引所のトラベルルール対応一覧
国内仮想通貨取引所から海外仮想通貨取引所の対応についてまとめています。
海外取引所 | ||||||
Bybit | Kucoin | MEXC | Bitget | Gate.io | ||
国内取引所 | コインチェック | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
ビットフライヤー | 〇 | 〇 | × | 〇 | 〇 | |
GMOコイン | 〇 | 〇 | × | 〇 | × | |
ビットバンク | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | |
ビットポイント | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | × |
海外仮想通貨取引所への送金の場合、通知システムの種類だけでなく、通知対象国も調べるとスムーズに送金できます。
トラベルルールの回避方法を紹介
利用している取引所によっては、仮想通貨を送金できないケースがトラベルルールによって生じます。
どうしても仮想通貨を送金したい場合は、以下で紹介する回避方法を実践してみることをおすすめします。
同じシステムを採用する仮想通貨取引所を利用する
通知システムが原因で送金できない場合は、同じ通知システムを採用している取引所を新たに利用することをおすすめします。
通知システムには、TRUSTやSygna Bridgeなどの種類がありますが、それぞれに互換性はなく、同じ通知システムを共有していないと送金ができません。
互換性がない以上、同じシステムを採用している取引所同士でないと送金ができないため、利用する取引所の通知システムは事前に確認してください。
プライベートウォレットを経由して送金する
トラベルルールを回避する方法として、MetaMaskなどのプライベートウォレットを利用した方法があります。



MetaMaskなどのプライベートウォレットはトラベルルールの対象外となるため、自由な送金が可能です。
国内取引所から海外取引所に送金する場合、MetaMaskで迂回すれば直接送金できない海外取引所にも送金が可能となります。
例えば、Aからプライベートウォレットへ送金し、プライベートウォレットからBへと送金することで、直接送金ができない取引所であっても送金できます。
関連するよくある質問と回答
トラベルルールとは具体的にどのようなルールなのでしょうか?
以下では仮想通貨のトラベルルールに関するよくある質問に回答しています。
仮想通貨の海外取引所トラベルルールとは?
金融庁が公表している通知対象国がトラベルルールの対象となります。
具体的には、以下の国が通知対象国となってます。
- アメリカ合衆国
- アラブ首長国連邦
- アルバニア
- イスラエル
- インド
- インドネシア
- 英国
- エストニア
- カナダ
- ジブラルタル
- シンガポール
- スイス
- セルビア
- 大韓民国
- ドイツ
- マレーシア
- モーリシャス
- バハマ
- フィリピン
- ベネズエラ
- 香港
- ルクセンブルク
通知対象国に本拠がある、もしくはライセンスを取得している海外取引所はトラベルルールの対象になり、受取側へ送金者の情報を通知が必須です。



他方で、通知対象国家に属していない海外仮想通貨取引所はトラベルルールの適用外になります。
トラベルルールの対象外となる取引所の場合、規制を受けることなく自由に送金ができます。
しかし、非対象の海外取引所から国内取引所に送金をする場合、トラベルルールによる制約により送金を拒否されるリスクもあるので注意しましょう。
送金におけるトラベルルールとは?
仮想通貨を送金する場合、送金元の取引所は送金を依頼する人の情報を受取側の取引所に通知しなければなりません。



これはマネーロンダリングなどの犯罪防止を目的としたトラベルルールです。
自由な送金を規制することで仮想通貨の不正利用を未然に防ぎ、万が一不正があった場合であっても不正の追跡が可能です。
なお、トラベルルールの影響で直接送金できないケースもあるため、送金をする場合は事前に調べておくことをおすすめします。
グローバルトラベルルールとは?
グローバルトラベルルールとは、仮想通貨取引所の情報通知システムの一種で、Binance Japanなどで採用されています。
トラベルルールでは情報通知システムが同一でないと仮想通貨の送金が行えないため、グローバルトラベルルールを採用している取引所から送金する場合は、同じシステムを採用している取引所に限定されます。
国内でグローバルトラベルルールを採用している取引所はBinance Japanのみであるため、国内取引所からBinance Japanへは送金ができません。
銀行のトラベルルールとは?
暗号資産交換業者が利用者の要請で出金をする場合、依頼人と受取人に関する情報を送金先の暗号資産交換業者に通知するというルールのことです。
マネーロンダリングの防止を目的とした国際的な取り組みで、日本だけでなく海外の金融当局にも導入が求められています。
トラベルルールが適用されることで不正の防止や不正利用の追跡が可能になるため、仮想通貨市場の健全化につながります。
バイナンスの送金のトラベルルールは?
バイナンスとは仮想通貨取引所の一つで、バイナンスジャパンは日本の金融庁に登録している仮想通貨交換業者のことです。
バイナンスは海外の取引所ですが、バイナンスジャパンは日本の取引所の扱いになるため、他の国内仮想通貨取引所同様にトラベルルールの規制を受けております。
バイナンスは国内で唯一GTRのシステムを採用している取引所で、GTRを採用していない他の国内仮想通貨取引所には送金ができません。
Bybitの送金のトラベルルールは?
Bybitは海外仮想通貨取引所の大手の一つであり、金融庁が指定する通知対象国外のセーシェルに登記しています。
通知対象外の国であるため、Bybitはトラベルルールの規制を受けておりません。
国内取引所からBybitに送金をする場合は、通知対象外の国の取引所にも送金できる取引所がおすすめです。
仮想通貨の海外送金は規制が厳しい?
海外送金の規制の厳しさは、仮想通貨の種類によって異なります。



ビットコインやイーサリアムなどのメジャーな仮想通貨であれば、多くの場合厳しい規制を受けることなく送金できます。
他方で、匿名通貨と呼ばれる追跡が難しい仮想通貨の場合、マネーロンダリングの危険性から厳しい規制を受けることになります。
仮想通貨の種類によってはトラベルルールの規制を受けることがあるため、送金をする際には事前に規制の度合いなどを調べることをおすすめします。
トラベルルールでは海外の取引所へ送金できない?
トラベルルールでも海外の取引所への送金は可能ですが、仮想通貨の種類や通知システム、通知対象国家に属しているか否かなどによって送金を拒否されるケースもあります。
トラベルルールの影響で海外仮想通貨取引所へ直接送金ができない場合は、プライベートウォレットを経由する方法もあります。
どうしても直接送金できない取引所に仮想通貨を送りたい場合は、プライベートウォレットを経由することをおすすめします。
まとめ
今回は海外仮想通貨取引所のトラベルルールについて解説しました。
仮想通貨は送金に便利な半面、マネーロンダリングなどの犯罪に悪用される危険性を孕んでいるため、トラベルルールのような国際的な規制はどうしても必要です。



手続きが面倒になるなどのデメリットもありますが、規制を受けることで健全な利用が促進され、仮想通貨自体の価値を高めることにつながります。
トラベルルールが原因で送金できないなどの悩みを抱えている際にはぜひここで紹介した方法を実践してみてください。
コメント